●ネットでの個人情報漏洩の怖さ(1)私の体験

 ネットの怖さはよく指摘されます。
 それは国家の秘密漏洩ということから、ある国家が別の国家の首相の携帯電話の盗み聞き、軍事機密の漏洩など、国家間の政治問題に関わる重要な問題も現実化しています。

 国家の機密情報漏洩というほど大きな問題ではないものの、いわゆる悪質なハッカーにより個人情報(単に氏名・住所だけではなく、カード番号や銀行口座等も含めて)が盗まれ、その個人情報売り買いされていることも重要な社会問題となっています。じつは、以前にも報告しているのですが、数年前に私もその個人情報漏洩の「被害者」になりました。

 私がプリンターのインクカートリッジ等を購入している文具のネット通販会社から、「お詫び」のメールが届き、お客様情報がハッキングされ盗まれたとの連絡がきていました。その連絡では盗まれた個人は把握できていないとのことでした。

 私の個人情報も盗まれていたことが分かったのは、カード会社から私のカードが不正に使われている可能性がある、それゆえカード使用について確認したい、との電話でした。 
 ただ、このような電話によって個人情報を取得しようとする悪質な電話もあると聞いており、「せっかく連絡していただいており申し訳ないですが、こちらからカードに記載されているコールセンターに電話します。どこの部署のどなたにつないでいただければよいかを聞かせてください」と話をし、接続先を聞き、私の方からカード会社に連絡し、具体的な話を聞くことになりました。

 契約者が行ったのではないと思われる支払請求がきており、確認のため電話した、本日○○時にカードでの買い物をしていただいているか、とのことで、私は今日は一度も買い物はしていないと回答しました。
 どこからかはカード会社ではわかないが、あなたのカード番号とパスワードが盗まれた可能性が高い、とのことで、当然今回の引き落としはしない、カード番号とパスワードどちらもの変更が必要となり、変更届を郵送するので必要事項を記入して返送してください、となりました。
 カード会社が不正取引を見つけてくれたおかげで、金銭的な実損はありませんでしたが、このカードを他の引き落としにも使っており、それらのカード及びパスワードの変更手続きに結構時間を割くことになりました。

《カード会社の責任も》

 悪質なハッカー等による個人情報の盗み取りが社会的な問題となり、ハッカーによる盗み取り行為に個人情報漏洩の責任があるのは当然としても、カード会社も不正な請求に何らかの対応策をとるべきではないかとの指摘も出されてきました。
 上記のような不正請求に対する私への連絡は、このカード会社の対応の一つであると思われます。
 どのように不正請求を判断しているのかは「企業秘密?」かもしれず詳しいことは分かりませんが、カード会社も何らかの対応をしていることは今回の私への確認電話対応でよく分かりました。よいことだと思います。

《しかし、怖さも》

 カード会社の不正請求に対する対応は具体的に明らかにされいないようですが、専門家等により対応策の一つではないかとされていることに少しの怖さがあります。
 その不正請求を見分ける方法は、カード会社のデータベースに私の請求実績が保存蓄積されており、私の購入傾向(どのような物を多く購入しているのか)やどこで購入しているのかといったデータと対比し、今まで購入したこともない物品の請求や、ネット通販での主な購入先と異なった取引、さらには私の住所と遠く離れた場所での購入などがあれば不正請求を疑うということのようです。
 このことにより不正請求が発覚し、不正請求の抑止にもつながるならよいことだといえますが、個人個人のカード使用履歴がビッグデータとして蓄積され、それが盗まれる危険性がないとはいえません。また、詐欺メールなどの犯罪捜査にカード会社のビッグデータが「活用」されては、個人情報としての重要な金銭の流れ、物品購入実績から判断される生活状態、さらには購入書籍等による思想傾向さえも暴かれることにつながりかねません。
 その意味ではカードの不正請求が防止されるというメリットはあるものの、一方では個人が丸裸にされてしまう危険性もはらんでいるといえます。

以上

 

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