●ネットでの個人情報漏洩の怖さ(2)GPS位置情報

 前号のブログの続きです。
 この問題も以前に重要な個人情報漏洩につながる危険性を指摘しました。

 コロナ感染が拡大し、外出の規制要請が出されている中で、テレビ等のメディアでは従来都心の人通りの多いハチ公前の交差点などのコロナ感染がなかった頃と、感染が拡大した現在の映像を対比し、いかに外出している通行人が減少しているかが報道されていました。
 この情報は交差点に設置された監視カメラ映像を見て通行人の数を数えるといったアナログ情報ではありません。
 各携帯電話会社のGPS位置情報を「活用」したものです。

 このGPS位置情報の活用は、子どもが行方不明となったとき、捜査機関が子どもがもっているスマホで子どものいる地点を確認していることがテレビなどで報道されており、非常に役立つ情報と受けとめられている方も多いと思います。
 確かに、使い方によっては役立つ情報であることは間違いありません。

 しかし、ある地点のGPS位置情報を取得することは、その交差点を横断している全ての人が○月○日○時にハチ公前の交差点を歩いていることを明らかにするものです。ただ、多くの人の情報ではありますが、あくまでもAさん・Bさんといった一人一人の位置情報が基本となってそれの合計がコロナ以前とコロナ後のある日時の対比として報道されていることになります。AさんならAさんという個人を特定した位置情報ですので、当然携帯電話会社に届けられているAさんの個人データ(氏名・住所等)とセットになっています。

 このことは、逆にAさんが今どこにいるのかを検索することも可能ということです。これは犯罪捜査における容疑者がどこにいるのか居所検索に「活用」されています。そして、各メディアは容疑者確保の重要情報として何の疑問もなく警察発表をそのまま報道しています。
 ジャーナリズムの使命としては、少なくとも各携帯会社のビッグデータを活用する行為について、「このような個人の位置情報の検索は裁判所の許可を得て、犯罪調査に絞るべき」とのテロップを流すことも必要ではないかと思います。そのテロップを見ることで個人情報漏洩に対する危機感を持つ人も出てくるでしょう。

★誤認逮捕につながった事例も 

 アメリカのことですが、GPSで殺人事件のあった現場にいたことが確認されたとのことでXさんが逮捕されました。Xさんは傷害の「前科」があったこともあり逮捕に至ったとのことです。
 しかし、他の事件で逮捕されたY容疑者がXさんが犯したという殺人事件の犯人であるとの自供があり、Xさんの無実が明らかになった事例があるそうです。
 また、ある個人を特定し、その個人の行動範囲を24時間、毎日、記録しておくこともいともたやすくできることになります。

 これらのように携帯のGPSは、確かに非常に便利な機能を提供してくれますが、個人情報の漏洩につながる怖さを持っていることも充分承知しておく必要があると思います。

以上

 

PAGE TOP