●維新の会「伸張」に関するつぶやき(1)

 ブログ開設の最初に「維新の会」を取り上げるには抵抗がありますが、やはり、維新の会の伸張には大きな怖さを感じざるをえず、なんとしても維新の伸張を止めなければならないとの思いで、維新の会に関する「つぶやき」を掲載することにしました。

※以下の文章は、今年の8月に「日本維新の会をどう見るか」(著者:富田宏治・中山徹・中山直和 発行:学習の友社)の書籍紹介として第一章を簡単にまとめたもののほぼ全文を掲載しています。

「日本維新の会」伸張の怖さ

維新の会元代表・橋下氏の主張

 ブログを開設し、「つぶやき」を掲載していこうと準備をしてきましたが、やっと公開という段階になって、各地の知事・県議等の統一地方選挙が行われ、日本維新の会(以下、「維新」と略)が大阪だけでなく他の地域でも当選者を増やし、維新が大きく勢力を伸ばしていることが明らかになりました。

 維新の「怖さ」とは何かということになりますが、まず第一に、「維新」の元代表であった橋下氏の「政権奪取論」(朝日新書)においての主張です。そこで、
・「きれい事無用、政治の本質は敵との対立だ」、「自分の価値観や政治信条などは政権を取ってからしか実現できない。まず、政権を取ることが重要」。
・「今のご時世、政治家が個人の思いを語ったところで、有権者は誰も振り向かない。有権者が引きつけられるような日本の新しい道、選択肢を熱く語るべきだ。そのためには、徹底した『政治マーケティング』が必要になる」としています。
⇒要するに選挙においては徹底した「大衆迎合」(ポピュリズム)で、自らの主張などは言う必要はないということのようです。

 第二に、極めつけとして、「現実の課題に対応するために、これまでの主張に反することを、どう有権者にバレないようにやるかという政治技術-政党が持ち合わせなければならない最も高度な政治技術」だと説いています。
⇒選挙においては、ポピュリズムに徹し、大衆の要求等に寄り添うポーズを取り、当選すれば、選挙中の主張と反する施策等をバレないようにするのかが政党の政治技術、としているのです。

「組織されたポピュリズム」

●維新の支持層は、巷間いわれているように「ふわっとした民意」とか「格差に喘ぎ、現状打破を求める若年貧困層」ではない。
●維新の支持層は、「都心の高層タワーマンションは郊外の戸建て住宅に住む『勝ち組』意識を抱いた中堅サラリーマン層や自営上層の人々なのです。」
●税や社会保険などの高負担とそれに見合う公的サービスを受けられないことへの不満や、自分たちが払った税金や保険料を食い潰す「年寄り」や「病人」や「貧乏人」への怨嗟や憎悪の感情を掻き立てることによって、中堅サラリーマン層や自営上層の「勝ち組」意識に基づく社会的分断を意図的に作り出してきた。
⇒ 衆議院千葉一区から維新公認候補として擁立された元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏の発言に見られるような煽り発言
 ▲維新・長谷川氏発言
   「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ! 今のシステムは日本を滅ぼすだけだ!」

「不寛容なポピュリズム」としての維新政治

 「不寛容なポピュリズム」とは、「ポピュリストたちは、人々の間にある『違い』をことされに暴き立てます。そして、自分たちと違うものに対する憎悪と排斥の感情を煽り立て、敵を徹底的に叩くことで、喝采を浴び支援を集めようとするものです。彼らを『不寛容なポピュリズム』と呼ぶゆえんです。

「不寛容なポピュリズム」が跋扈する背景

● アメリカ・トランプ大統領、フランスのル・ペン氏そして、維新・橋下氏などの「不寛容なポピュリズムが跋扈する背景
⇒ 1990年半ば以降の市場原理主義に基づくグローバル化が、この世界の言語に絶する貧困と格差の拡大をもたらした。
⇒ ビル・ゲイツ氏をはじめ世界の富豪8人の資産が、下位36億7500万人の総資産を上回ったという富の偏在
⇒ 米国では、上位1%の総資産が下記90%の総資産を上回ったと言われている
⇒ 日本でも、上位40人の総資産が下位50%の持つ総資産額を上回っていた

「不寛容なポピュリズム」への中間層の期待と妄信

⇒ 貧困と格差の拡大は、少しだけましな暮らしを享受してきた中間層を崩壊させ、その境遇を不安定なものとするとともに、「自分たちばかりが重い税負担をしているのに何の恩恵も受けることなく、税金を納めていない貧乏人や年寄りたちに、自分たちの税が食い潰されている」という被害妄想に似た重税感を広げる。厳しい市場原理にさらされ、いつ自分が貧困層に転落するかわからないという不安や、こうした被害妄想的な重税感が相まって、中間層の中に、「不寛容なポピュリズム」への期待と盲進が広がる。

⇒ 中間層は、自らの不安の原因を、新の敵である新自由主義=市場原理主義にではなく、移民、難民、民族的・宗教的マイノリティ、障害者、性的マイノリティなどに、さらには生活保護受給者をはじめとする貧困層や高齢者層に求め、「あいつらのせいで、こんなことになったのだ」という憎悪を抱きはじめる。そして、こうした憎悪あえて煽り立て不寛容とヘイトをこととするポピュリズムに現状打開を期待するようになる。

「小泉劇場」の二番煎じ

⇒ 維新政治は、2001年から2006年にかけての「小泉劇場」とも呼ばれた、小泉純一郎元首相による「日本型ポピュリズム」の二番煎じ。
⇒ 小泉政治の特徴
① 1990年代初めのバブル経済崩壊以来、低迷する経済と「失われた10年」と呼ばれた政治の無為無策に対して高まっていた国民大衆の不安と不満を激しい言葉で煽り立て、
②  「官から民へ」「改革なくして成長なし」「自民党をぶっつぶす」というように、複雑な問題を単純化し「マル」か「バツ」かの二者選択を迫るワンフレーズ・ポリティックスを振りかざし、
③  「抵抗勢力」と呼ばれたスケープゴートを設定し、これを激しく叩くことで喝采を集め、
④  「構造改革」がもたらした厳しい競争や格差と貧困にさらされて、熟慮や熟議を待つ余裕を失った国民対象の「白紙委任状」をとりつける
⇒ 維新の政治的主張は、「官から民」へを基調とする新自由主義的=市場万能主義的なものである点でも、排外的なナショナリズムや歴史修正主義の立場に立つ点でも、小泉政治の焼き直し。
⇒ 小泉氏のスケープゴートが「抵抗勢力」だったのに対し、橋下氏(維新)の下では公務員労組が主なスケープゴートに選ばれた。
⇒ そして、小泉氏の「郵政民営化」にあたるものが、「大阪都構想」という「改革」のシンボルにほかならなかった。

次回ブログに続く


    


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